東京地方裁判所 平成8年(ワ)24236号 判決 1997年4月02日
第一事件原告第二事件被告
ユニオンソース株式会社
右代表者代表取締役
井草政吉
右訴訟代理人弁護士
松林詔八
第一事件被告第二事件原告
株式会社第一勧業銀行
右代表者代表取締役
奥田正司
右訴訟代理人弁護士
伊達昭
同
伊達聡子
主文
一 第一事件について
第一事件原告の請求をいずれも棄却する。
二 第二事件について
第二事件被告は第二事件原告に対し、金六三一〇万一〇五四円を支払え。
三 訴訟費用について
訴訟費用は、第一事件及び第二事件を通じて、第一事件原告・第二事件被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求の趣旨
一 第一事件
1 第一次請求 被告は原告に対し、金二六四六万五七五四円及びこれに対する平成八年三月七日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
2 第二次請求 平成二年九月一九日に被告が原告に対して貸し付けた元金三億五〇〇〇万円の利息金として被告が原告に請求している六三一〇万一〇五四円につき、その債務が存在しないことを確認する。
二 第二事件
主文第二項と同旨
第二 事案の概要(以下、第一事件原告・第二事件被告を「原告」、第一事件被告・第二事件原告を「被告」という)
(第一事件について)
一 原告の請求の原因
1 原告は、ソース・ケチャップその他の調味料の製造を主たる目的とする会社であり、被告は銀行である。
2 原告は被告から、平成二年九月一九日、三億五〇〇〇万円を次の約定により借り受けた。
(一) 返済期日 平成七年九月一九日に一括返済
(二) 利息支払期日 平成三年三月一九日を第一回とし、以後、返済期日までの毎年三月一九日及び九月一九日を利息支払期日とする。
(三) 利息計算期間 初回は借入日から第一回利息支払期日の前日までとし、以後、各利息支払期日から翌利息支払期日の前日までとする。
(四) 利率
(1) 初回以降第九回までの各利息計算期間についての適用利率は年五パーセントとする。
(2) 第一〇回目の利息計算期間について適用される利率は、一定の計算式により算出された数値の少数第四位を切り上げた数値(年率)とする。ただし、この計算式により算出された数値が一パーセントを下回る場合は、年率一パーセントとする。
3 原告と被告は、平成四年三月一九日付で、前記(四)の(1)の利率を年5.6パーセントと変更する旨の合意をして同月一八日までの既払利息を同率により精算し、その後、原告は被告に対し、平成七年三月一八日までの利息を半年毎に年5.6パーセントの利率により支払ってきた。
4 被告は、平成七年九月初め、原告に対し、平成七年三月一九日から同年九月一八日までの最後の半年分の利息金は九九〇〇万円を超える旨伝えてきた。これは、年利に換算すると、五六パーセントを超える。
5 原告は被告に対し、元本及び右最終利息の返済期日である平成七年九月一九日の前日にあたる同月一八日、同年三月一九日から同年九月一八日までの利息として、利息制限法上許容される最高利率である年一割五分の割合により計算した二六四六万五七五四円に元本を加えた三億七六四六万五七五四円を支払った。被告は、右二六四六万五七五四円を最終回利息額八九五六万六八〇八円の一部にあてるとして受領した。
6 最終回(第一〇回分)の利息に関する金銭消費貸借契約の内容は原告に理解されていなかったものであるから、その部分につき合意がなく、利息の定めはなかったものというべきである。したがって、原告は被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、何らの原因なく受領した右二六四六万五七五四円及び訴状送達の日の翌日である平成八年三月七日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める(第一次請求)。
なお、本件金銭消費貸借契約の契約書によれば、契約書の英語版と日本語版との間に相違が生じる場合には、日本語版によるものとされているが、最終回の適用利率については、英語版には後記被告の主張のとおりの契約条項が記載されているが、日本語版には計算式の重要部分は白地のままであり、条文として未完成であり、結局、この部分については契約が成立しておらず、利率の定めがないものというべきである。
7 仮に最終回の利息に関する合意が有効に存在し、原告の第一次請求が認められず、原告に最終回の利息金の支払義務があるとしても、原告は被告に対して利息制限法に基づく最大限の金員の支払をしており、これによって原告の債務は消滅しているので、そのことを確認する裁判を求める(第二次請求)。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1の事実は認める。
2 同2の事実のうち、(四)の(1)の利率が五パーセントであったことは否認し、その余の事実は認める。右利率は6.5パーセントであったが、被告が原告に交付した契約書写しの利率の記載に五パーセントとの誤記があり、このことをめぐって原告と被告の間で協議がなされ、平成四年三月一九日付けで、初回以降第九回まで利率を年5.6パーセントと変更する和解がなされたものである。
3 同3ないし5の事実は認める。
4 同6の事実は否認する。本件金銭消費貸借契約の契約書の英語版と日本語版は同一用紙の表裏に一体化して印刷記載されており、契約当事者は右事実を確認しうる日本人であることから、和文ブランク部分は、英文と同一として記載を省略したものであることが、書面の体裁及び締約に至る経緯から明らかである。
5 同7の主張は争う。
三 被告の主張
請求原因2の貸付の方式は、オージーバルーン方式といわれているものである。バルーン方式においては、最終回の利息を除く各回の利息の利率は、顧客の資金調達事情に応じて定められる。バルーン方式の利息を通算した利率は、一般の貸付の利率に後払コストを加えた利率となる。また、オージーバルーン方式とは、バルーン方式に豪ドルの先物取引的技術を組み入れ、五年先の最終回支払利息の軽減を期待するためのものであり、被告の第一事件答弁書第三の二の2掲記の計算式により最終回支払利息額を計算する。
オージーバルーン方式は、バルーン方式の最終回ふくらみ部分の利率軽減を意図するものであるが、為替相場の変動を利用するものであるので、その時点の為替相場によっては、逆に為替差損を生じ、利息額の増加を招くことも起こりうる。本件においては、契約当初の予想を超えた円高をめぐる為替事情から、最終部分の利息軽減期待が逆に増加をきたすという結果を生じたものである。もっとも、このような事態については念書の徴求が行われており、原告も理屈の上では理解していたものといえる(甲第二号証)。
なお、被告は原告に対し、平成七年八月三〇日付け書面により、返済期日の二営業日前の円と豪ドルとの為替相場が平成七年八月二四日の相場と同レートであると仮定した場合、最終回利息金額は九九一六万三六三三円となる旨通知したが、その後の為替相場が円安方向に推移したため、最終回利息は、実際には八九五六万六八〇八円に決定した。
四 被告の主張に対する原告の反論
本件金銭消費貸借契約にあっては、五年間の利息金総額を金何円と定め、これを分割して支払うというものではない。また、五年間の平均金利を定めた上で、各年度の利息を配分したものでもない。本件金銭消費貸借契約においては、経過した利息計算期間ごとに独立して利息金が計算および決済されており、各利息計算期間ごとに利息制限法の制限利率が適用される。最後の半年分の利息に関する定めにつき、オージーバルーン方式により算出された数値が一パーセントを下回る場合は、年率を一パーセントとするとされているが、このことも、最後の半年間の利息金がそれ以前の四年半と全く独立したものであることを示すものである。独立していないというのであれば、このような定めを設ける必要がないからである。
(第二事件について)
一 被告の請求の原因
1 被告は原告に対し、平成二年九月一九日、三億五〇〇〇万円を次の約定により貸し渡した。
(一) 返済期日 平成七年九月一九日に一括返済
(二) 利息支払期日 平成三年三月一九日を第一回とし、以後、返済期日までの毎年三月一九日及び九月一九日を利息支払期日とする。
(三) 利息計算期間 初回は借入日から第一回利息支払期日の前日までとし、以後、各利息支払期日から翌利息支払期日の前日までとする。
(四) 利率
(1) 初回以降第九回までの各利息計算期間についての適用利率は年6.5パーセントとする。
(2) 第一〇回目の利息計算期間について適用される利率は、オージーバルーン方式(その計算式の詳細は被告の第一事件答弁書第三の二の2掲記のとおり)により算出された数値の少数第四位を切り上げた数値(年率)とする。ただし、この計算式により算出された数値が一パーセントを下回る場合は、年率一パーセントとする。
2 原告と被告は、平成四年三月一九日付けで、前記(四)の(1)の利率を年5.6パーセントと変更する旨の合意をして同年三月一八日までの既払利息を同率により精算し、その後、原告は被告に対し、平成七年三月一八日までの利息を半年毎に年5.6パーセントの利率により支払ってきた。
3 原告は被告に対し、元本及び右最終利息の返済期日である平成七年九月一九日の前日にあたる同月一八日、同年三月一九日から同年九月一八日までの利息として、利息制限法上許容される最高利率である年一割五分の割合により計算した二六四六万五七五四円に元本を加えた三億七六四六万五七五四円を支払った。しかし、前記1の(四)の計算式により算出した最終回の利息の額は八九五六万六八〇八円であるため、被告は、右二六四六万五七五四円を最終回利息額八九五六万六八〇八円の一部として受領した。
4 よって、被告は原告に対し、未払利息金六三一〇万一〇五四円の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1のうち、(四)の(1)の利率が6.5パーセントであったことは否認し、その余の事実は認める。右利率は五パーセントであった。
2 同2の事実は認める。
3 同3のうち、請求原因1の(四)の計算式により算出した最終回の利息の額が八九五六万六八〇八円であるかどうかは知らない。その余の事実は認める。
三 原告の主張
1 最終回の利息に関する金銭消費貸借契約の内容は原告に理解されていなかったものであるから、その部分につき合意がなく、利息の定めはなかったものというべきである。
なお、本件金銭消費貸借契約の契約書によれば、契約書の英語版と日本語版との間に相違が生じる場合には、日本語版によるものとされているが、最終回の適用利率については、英語版には後記被告の主張のとおりの契約条項が記載されているが、日本語版には計算式の重要部分は白地のままであり、条文として未完成であり、結局、この部分については契約が成立しておらず、利率の定めがないものというべきである。
2 仮に最終回の利息に関する合意が有効に存在するとしても、右合意のうち利息制限法の制限利率である一割五分を超過する部分は無効である。
第三 当裁判所の判断
(第一事件について)
一 請求原因1ないし3の事実は、1の(四)の利率が五パーセントであったか6.5パーセントであったかを除き、当事者間に争いがなく、右争いのある事実については、その後請求原因3記載の合意が成立したことにより、争いが解消したものと認められる。
二 甲第一号証の一、二、乙第三号証、第四及び第五号証の各一、二並びに弁論の全趣旨によれば、請求原因2の貸付の方式は、オージーバルーン方式といわれているものであること、バルーン方式においては、最終回の利息を除く各回の利息の利率は顧客の資金調達事情に応じて定められること、バルーン方式の利息を通算した利率は、一般の貸付の利率に後払コストを加えた利率となること、オージーバルーン方式とは、バルーン方式に豪ドルの先物取引的技術を組み入れ、五年先の最終回支払利息の軽減を期待するためのものであり、被告の第一事件答弁書第三の二の2掲記の計算式により最終回支払利息額を計算することができること、オージーバルーン方式は、バルーン方式の最終回ふくらみ部分の利率軽減を意図するものであるが、為替相場の変動を利用するものであるので、その時点の為替相場によっては、逆に為替差損を生じ、利息額の増加を招くことも起こりうること、本件においては、契約当初の予想を超えた円高をめぐる為替事情から、最終部分の利息軽減期待が逆に増加をきたすという結果を生じたものであることが認められる。
三 原告は、最終回の利息に関する金銭消費貸借契約の内容は原告に理解されていなかったものであるから、その部分につき合意がなく、利息の定めはなかったものというべきである旨主張する。
しかし、甲第一号証の一、二、第二号証、乙第三号証、第四及び第五号証の各一、二並びに弁論の全趣旨によれば、原告と被告の間には、乙第三号証の契約書が調印され、原告に写しが交付されていること、原告は資本金六二五〇万円の会社であり、経理部長か右契約に直接関与していたこと、オージーバルーン方式の計算式の詳細は一般人には理解しにくいものであるが、その方式自体は、要は、最終回の利息を除く各回の利息の利率は、顧客の資金調達事情に応じて定めることができるという利点がある反面、最終回の利息の負担は大きくなるものであり、その負担を軽減することを意図して、豪ドルの先物取引的技術を組み入れたものであるというのであり、この内容を理解することは、会社の借入れその他の経理を担当する者にとっては、必ずしも困難であるとはいえないこと、原告はオージーバルーン方式に為替リスクがあることについて、本件金銭消費貸借契約締結当時、そのことを理解している旨の念書を被告に差し入れていることが認められる。
右認定事実によれば、原告が最終回の利息に関する金銭消費貸借契約の内容を理解していなかったものということはできない。したがって、原告の右主張は理由がない。
四 原告は、本件金銭消費貸借契約の契約書によれば、契約書の英語版と日本語版との間に相違が生じる場合には、日本語版によるものとされているが、最終回の適用利率については、英語版と日本語版に違いがあり、日本語版には計算式の重要な部分は白紙であり未完成であるから、この部分については契約が成立しておらず、利率の定めがないものというべきであると主張する。
しかし、乙第三号証によれば、本件金銭消費貸借契約の契約書の英語版と日本語版は同一用紙の表裏に一体化して印刷記載されており、契約書の英語版と日本語版との間に相違が生じる場合には、日本語版によるとの定めがあるものの、日本語版の契約書には、原告主張の最終回の適用利率に関する計算式の重要な部分が未記入であるというにとどまらず、契約当事者の表示、借入金額、返済期日等の欄も未記入であることが認められ、右事実からすれば、契約当事者の表示、借入金額、返済期日のほか、最終回の適用利率に関する計算式の重要な部分等の未記入部分については、契約の関係者が契約書の英語の記載も解しうる日本人であることから、和文ブランク部分は、英文と同一として記載を省略したものであることが、書面の体裁から明らかであり、この事実をもって、契約書の英語版と日本語版との間に相違が生じる場合に当たるということはできない。したがって、原告の右主張は理由がない。
五 原告は、仮に最終回の利息に関する合意が有効に存在し、原告に最終回の利息金の支払義務があるとしても、原告は被告に対して利息制限法に基づく最大限の金員の支払をしており、これによって原告の債務は消滅していると主張する(第二次請求)。
しかし、前記三認定の事実及び弁論の全趣旨によれば、本件金銭消費貸借契約は、オージーバルーン方式といわれているものであること、バルーン方式においては、最終回の利息を除く各回の利息の利率は、顧客の資金調達事情に応じて定められること、バルーン方式の利息を通算した利率は、一般の貸付の利率に後払コストを加えた利率となること、オージーバルーン方式とは、バルーン方式に豪ドルの先物取引的技術を組み入れ、五年先の最終回支払利息の軽減を期待するためのものであり、被告の第一事件答弁書第三の二の2掲記の計算式により最終回支払利息額を計算するものであること、オージーバルーン方式は、バルーン方式の最終回ふくらみ部分の利率軽減を意図するものであるが、為替相場の変動を利用するものであるので、その時点の為替相場によっては、逆に為替差損を生じ、利息額の増加を招くことも起こりうること、本件においては、契約当初の予想を超えた円高をめぐる為替事情から、最終部分の利息軽減期待が逆に増加をきたすという結果を生じたものであること、このような事態が生じうることについては念書の徴求が行われており、原告も理屈の上ではこれを理解していたものといえることが認められる。
右認定事実によれば、本件金銭消費貸借契約において用いられているオージーバルーン方式とは、顧客の資金調達事情に合わせて、最終回以外の支払利息の利率を顧客の選択に委ねるとともに、最終回の利息の支払の際に、貸借の全期間中の利息の精算をする方式であり、顧客が選択する一定率以上の利率の利息を後払いとする方式といえる。これに豪ドルの先物取引的技術を組み入れたオージーバルーン方式も、最終回の支払利息の額が変動するという点以外は、バルーン方式と異なるところはないものである。このような利息の支払方法にかんがみると、バルーン方式ないしオージーバルーン方式について利息制限法を適用する場合には、金銭貸付けの全期間の利息総額が利息制限法上の制限利率による利息総額の範囲内であれば、利息制限法の範囲内の利息であるということができるのであり、最終回の利息のみを取り上げて利息制限法の適用を論ずるのは相当でない。この観点から見てみると、本件金銭消費貸借契約の全期間における利息総額が右全期間内の利息制限法上の制限利率による利息総額の範囲内であることは明らかである。したがって、最終回の利息のみについて利息制限法の制限を論ずる原告の右主張は理由がない。
原告は、本件金銭消費貸借契約にあっては、五年間の利息金総額を金何円と定め、これを分割して支払うというものではなく、また、五年間の平均金利を定めた上で、各年度の利息を配分したものでもなく、経過した利息計算期間ごとに独立して利息金が計算及び決済されているから、その全期間を通じて利息制限法の適用を論ずるのは相当でない旨主張する。しかし、本件金銭消費貸借契約において、五年間の利息金総額を定めたり、五年間の平均金利を定めるなどの方法を取らなかったのは、オージーバルーン方式を採用し、利息が変動する方式を取ったからであり、このことから直ちに、本件金銭消費貸借契約において貸借の全期間を通じて利息制限法の適用を論ずるのが不相当となるものではない。したがって、原告の右主張は理由がない。
次に原告は、本件金銭消費貸借契約においては、最後の半年分の利息に関する定めにつき、オージーバルーン方式により算出された数値が一パーセントを下回る場合は年率を一パーセントとするとされており、このことも、最後の半年分の利息金がそれ以前の四年半と全く独立したものであることを示すものであると主張する。しかし、そのような定めがあるからといって、最後の半年間の利息金がそれ以前の四年半と全く独立したものであるということはできない。したがって、原告の右主張も理由がない。
六 以上のとおり、原告の請求は、いずれも理由がないから、棄却を免れない。
(第二事件について)
一 請求原因1及び2の事実は、1の(四)の利率が五パーセントであったか6.5パーセントであったかを除き、当事者間に争いがなく、右争いのある事実については、その後請求原因2記載の合意が成立したことにより、争いが解消したことが認められる。また、弁論の全趣旨によれば、請求原因3の事実が認められる。
二 被告の請求を妨げるものとして主張している原告の主張1及び2は、前記第一事件についての当裁判所の判断三ないし五に照らせば、いずれも理由がないものというべきである。
したがって、被告の請求は理由があり、認容すべきである。
(結論)
以上のとおりであるから、第一事件についての原告の請求はいずれも棄却すべきであり、第二事件についての被告の請求は認容すべきである。ただし、争いの実情に照らし、右認容部分に仮執行の宣言を付するのは相当でないから、第二事件に関する被告の仮執行の宣言の申立ては却下すべきである。よって、主文のとおり判決する。
(裁判官園尾隆司)